Stussyの創始者、ショーン・ステューシーの秘蔵VTR 「教科書なんてない」「金持ち野郎が好きになれない」

Stussyの創始者、ショーン・ステューシーの秘蔵VTR 「教科書なんてない」「金持ち野郎が好きになれない」


日本でも90年代から絶大な人気を誇るストリートブランド、Stussy。アイテムを持っていなくとも、あの特徴的なロゴは誰もが一度は目にしたことがあるだろう。

キッズからセレブまで世界中の人々を虜にしたStussyの創始者、Shawn Stussy(ショーン・ステューシー)。彼自身は1996年に退任しているが、かつてBBCが制作したショートドキュメンタリー映像を観れば、この偉大なブランドの(当時の)アティチュードや、ストリートに及ぼした影響力を知ることができるはずだ。

なお映像には、後に人気ブランドとなる<Supreme>の創始者、ジェームス・ジェビアも登場する。かつてNYで、いち早くStussyを扱っていたセレクトショップ<Union>を設立した彼は、そこで出会ったショーンと意気投合。同地にStussyの1号店をオープンさせた人物なのだ。

ちなみに、ジャングル~ドラムンベースのパイオニアとして知られるGoldieや、いわゆる裏原ブーム以前から日本におけるStussyの伝道師的な役割を担った藤原ヒロシ氏も映るのでお見逃しなく。

― <シャネル>のように湾曲した「S」が組み合わさったロゴを生み出したのが、カルト的な人気を集めるデザイナー、ショーン・ステューシーだ。

ショーン:パンツやシャツ、ジャケット、ハット。

Unique Storeマネージャー / LA:基本的には、ベースボールキャップやTシャツ、ジーンズ。

ショーン:コーデュロイシャツ、レザージャケットやたくさんのキャップ……。

Stussy Shopマネージャー / NY(※J・ジェビア):多くの人々がキャップをコレクションしてるね。こんなふうにカラーが何種類もあるんだけど、誰もがコンプリートしたくて、新色が発売されると何百人もが熱狂するんだ。

ショーン:キャップがいくつかあるよ。ちょっと待てよ、無いな。ここにはたくさんキャップがあったけど在庫がなくなってしまって、何もない状態だ。


― いまや街で最もアツいStussyのキャップは、サーフボードシェイパーをしていたショーン・ステューシーが雪だるま式に成功をおさめた証だ。そして様々な種類のロゴを作り出し、ブランドの知名度を利用することでロゴ中毒者たちを満足させた。

ショーン:これは<Stussy Tribe>ハット。ウール製の2トーンハットだ。

Unique Store:いまやStussyは、全ての高校生のユニフォームになりました。基本的にはサーファー、低価格でカジュアルな着こなしを好むスマートなサーファーに人気があります。


― この通称「シャネルロゴ」を身につける人は、要求が厳しい人ばかりだ。加えて、ブランドのスタイルを視覚的なサインで表現したデザインが登場し、結びつきを強める作用をもたらした。

ショーン:なぜ“Tribe(トライブ:部族・族)”なんて呼ばれているかと言うと、仲間だったり、クルーだったり、人々のグループであることに間違いないから。それは世界的なトライブで、あらゆる都市に住む仲間なんだ。よく分かんないけど“トライブ”ってのは、かなり土臭い言葉だと思う。“Posse(ポッセ:集団、仲間)”は、カッコいい人たちを表現するのに使えるかもしれないけど、トライブはすごく有機的な世界観や、古き良き世界観を持つ言葉みたいに感じるんだ。それは、ある意味で時間をかけて証明されてきた。IST、つまり“International Stussy Tribalism”は、その世界観が詰まった一種の代名詞になってて、ずっと好きで使ってる。


― それは世界的なスタイルの流行をもたらしたことを意味している。ショーンは、その国のスタイルを国際的に取引きし、輸出入することについて語っている。アメリカのカジュアルスタイルは、いまや世界中の若者にとって実質的なユニフォームとなった。

ショーン:ヨーロッパでは、無味乾燥で退屈な感じで、多くの人がアメリカン・ウェスタンの古着屋で買った同じ種類の服を着てる。自分もそんな服で育ってきて、5歳くらいまでカーキや白のTシャツを着てたね。ロンドンに行けば、みんなTimberlandのブーツやビッグサイズのダウンジャケット、ウールのシャツを着てる。俺たちはそれぞれそうやって成長してきた。アメリカにはLevi's 501、CONVERSEのジャック・パーセル、Timberlandのハイキングブーツ、J.C.Pennyのネルシャツがある。

世の中にはとても多くの観点があるだろ。ニュージャージー州にはボリューミーなヘアスタイルのイーストコーストらしい女性、L.A.にはさらに髪にボリュームのあるブロンドヘアの女性、スパイク・リー監督が拠点とするニューヨークにはアスレチックなスタイルの男たちがいる。それらは全てステレオタイプと言えるだろ? スケーターにおける違いは、大きめのTシャツにビッグサイズのadidasのスニーカーを身に着けてること。黒人はスパイク・リー監督みたいに見えるよう心がけてて、20歳以下になるとほとんど、まんまスパイク・リーみたいでさ。でも何も間違ってないんだ、誰もがアイデンティティを探してるんだよ。


― この賢明なデザイナーは、なぜターゲット市場に訴求し続けられるのだろうか?

ショーン:自分が聴く音楽や、あるいはクラブで見かける物事がアイデアのきっかけになってる感じだね。実際に出向いて、行動し、旅をして、それを持ち帰るんだ。NYのクラブに行き、ダンスビートを聴いて、ヨーロッパを訪ねて、帰宅したら地元の町で1ヶ月サーフィンして過ごす……。とにかくずっと目を見開いて、それら全てを吸収すると、そこから奇妙な新しいものが生まれるかもしれない。それを全ての人々に提供するんだ。それは一種のユニークなヒントになってるね、色んな変わり者たちに訴求するから。


― 多種多様な“Stussyトライブ”のユニフォームには、反メインストリームの文化的影響、アーバンなウェスト・コースト・ヒップホップ、サーフ、スケートボード、クラブシーンの要素が巧妙に混ぜ合わせられており、世界中の若者のマーケットを魅了した。

Unique Store:一度に40点の商品をお買い上げになる日本人のお客様がいらっしゃいます。店内の商品がなくなるほど、根こそぎ買い上げるんです。


― 彼はブランドを大きくし、より良くすることを望んでいたのだろうか?

ショーン:独占的ではありたいとは思ってるけど、大儲けすることは考えてないよ。


― それこそ、街の人々が聞きたかった答えだろう。

ショーン:俺はマーケティングやマーチャンダイジング、製造について学校で学んだわけじゃなくて、実際に進めながら学んできたんだ。広告にもほとんど費用を投入してない。もし広告に200万ドル費やせば、その年には収益を上げられない。それなら広告を出さずに200万ドルの収益を生み出した方がいいと思うんだ。


― 幸い、口から発せられる言葉はタダだ。

ショーン:ある男性がジーンズを愛用すれば、他の10人がそのジーンズを購入する。家に持ち帰り、良い感じで着用できて、ダメにならなければ、彼らはそのジーンズを周囲にも薦める。そっちの方が、より良い広告活動になるんだ。たぶん俺たちは何よりも、その活動を大きくするための手綱さばきが上手かったのかもしれない。だから長い間、みんなが求めてくれるのかもね。

Stussy Shop:人々は街に店舗が増えることをずっと切望してるよ。

ショーン:今すぐ店舗を増やして、2倍の規模で販売できるまでに拡大すれば、誰もブランドについて話したがらなくなるし、地元の仲間たちも着たがらなくなるだろうね。なぜなら、他の皆も着てるから。まさに微妙な境界線があって、成長のパターンのように自然な流れなんだ。フランク(・シナトラ Jr.:Stussyの共同創設者)と俺は、どうしても貪欲な金持ち野郎どもが好きになれなかった。それは自分自身に正直であり、もっと魂から向き合って、大金を得るために「YES」と言わないように努めていたからさ。


― しかし「YES」と言うことで、年間3000万ドルも売上が伸び、シャネルのように洗練されたマーケティングを実施することによって顧客が製品を着用して宣伝を担い、ブランドが持つ外向性と独占性のバランスが人々の興味を引いた。彼らの創意工夫にかかわらず、そこには大きなビジネスとしてのストリートカルチャーが存在するのだ。

ショーン:マーケティングの知識は全く無いから、理由はわからないな(笑)。あらゆることに驚いてるよ。自分がやらなければいけないこと、できることは、やりたいことをやり続けるっていうだけ。俺たちが売るアイテムに誇りのようなものを持ち続けたいし、ありふれたお店に置いてある商品のようにはしたくない。そして、今年のモデルを翌年には人々が求めないことも理解してる。何人に販売できるか、何個なら完売するか、それを教えてくれる教科書はないんだ。……わからないよ、参考にできるものなんて何もないのさ。

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