『ブレードランナー 2049』公開記念!日本初『ブレードランナー』爆音上映会に行ってきた

『ブレードランナー 2049』公開記念!日本初『ブレードランナー』爆音上映会に行ってきた


リドリー・スコット監督による傑作SF『ブレードランナー』(1982年)の日本公開35周年を記念し、当時の公開日である7月10日に東京・丸の内ピカデリーにて、同作(インターナショナル劇場版/完全版)の日本初となる爆音上映&トークショーが開催された。

上映前には、ライアン・ゴズリングらキャストや監督のインタビューを交えた予告映像が初お披露目。そして、当時『ブレラン』の撮影現場で日本人として唯一取材を敢行した中子真治氏(<下呂温泉 留之助商店>店主)と、アートディレクター/映画ライターの高橋ヨシキ氏という、国内きっての識者によるトークショーが行われたので、一部を抜粋して紹介しよう。

「自分にとって、思い入れではなく“思い出”がいっぱいある映画」と語る中子氏は、自身がハリウッドで取材活動をしていた当時、監督のリドリー・スコットが出演者のジョアンナ・キャシディを引き連れてSFXスタジオに出向き、主にビジュアル面における技術者を尋ね歩いていたという知られざる情報を披露。さらに、特殊メイクの巨匠リック・ベイカーに「(J・F・セバスチャンの自宅のシーンで)ゴリラのスーツを着て出演してほしい」と打診していたそうで、撮影に入る前から作品の情報が漏れ聞こえていたそうだ。

さらに中子氏は、ロイ・バッティの印象的なセリフ「お前たち人間には信じられないようなものを俺は観てきた(I've Seen Things You People Wouldn't Believe.)」に例え、「僕の記憶が薄れる前に『ブレラン』の情報を少しでも伝えたいなと思っています」と語り、場内から拍手が巻き起こった。

自身の体にレイチェルのタトゥーを彫るほどのブレラン愛を持つヨシキ氏は、「僕は中子さんが当時書かれていた記事を読んでいたくらいなので……」と謙遜しつつ、「日本公開のタイミングが悪くて『スター・ウォーズ』と『インディー・ジョーンズ』の間、みたいなノリの時だった」と、かなり不憫だったという公開時の状況に言及。中子氏も「アメリカはもっと最悪だった。『ブレラン』が公開される月の1週目に『E.T.』が公開されちゃって、その2週間後にひっそり公開されたんだよね。だから『ブレラン』がコケたのは『E.T.』のせいなんだけど、そのおかげでカルトになった」と、本国での不運な状況とその後の展開について振り返った。

ヨシキ氏が「中子さん『E.T.』のことめっちゃ嫌いじゃないですか? そこに理由があったのかっていう(笑)」と会場の笑いを誘うと、中子氏は「あのとき『E.T.』に“のぼせてた人たち”がハッと気づいて、そういえば『ブレラン』ってどうだったの? って。そういう人たちが徐々に増えていって、観たいのに観られないっていう飢餓感もあって不思議にカルト化していったのかな」と、過剰なまでの『E.T.』に対する憎しみを交えつつ述懐した。

かつてSF映画誌<スターログ>を愛読していたというヨシキ少年は、当時『ブレラン』の特集を組んだ特撮誌<シネフェックス>(※おそらく1983年発行の第2号)の内容も、いまだに暗記しているほど読み込んだという。なお、小学生だったため初公開時には映画館に行けなかったものの、いわゆる●●●の●●●で初めて鑑賞。その後しばらくして弐番館で上映した際に、この日と同じ“インターナショナル版”を偶然鑑賞したそうだ。

そんな『ブレラン』にはインターナショナル版のほか、その10年後に公開された“ディレクターズカット版”など複数のVer.が存在することは有名である。中子氏が「R・スコットも困るよね、“ユニコーンの夢”を出しちゃったり……どう収集つければいいんだろう? って感じで、どんどん変わっていったけど」と苦笑すると、ヨシキ氏も「ブリンプ(広告飛行船)を見上げながら愚痴ってる感じが好きだったのに、無言になってしまうと……って感じですよね(笑)」というファンならではのやり取りで、会場に集ったファンたちをニヤニヤさせた。

映像のディティールについて話が及ぶと、ヨシキ氏は「全部が全部、作ったものではないと思うけど、とにかく細かいことが気になっちゃう。例えば、あそこ(J・F・セバスチャンの自宅)でロイが遊んでる目玉とか、小さいバービー人形も“生きてんのかな!?”って思いますもんね。そういうことを考えだすときりがない」と、ファンならではの嬉しい悲鳴(?)を吐露。中子氏も「野田昌宏さん(SF作家/翻訳家)が“SFは絵だ”って言ったけど、それを本当に納得させられる映画だったね」と、どこを切り取っても良い意味で突っ込みどころのある本作の魅力を語った。

最後に、今年10月27日に公開となる続編『ブレードランナー 2049』の“見どころ”について、ヨシキ氏は「タイレルのビルが真っ暗になってるので、もしかして社長がワンマンだったから休業してしまったのか? ってところが気になってて(笑)、でも<ATARI>のネオンサインとか、また出てきたりして嬉しいですね」と、やはり細かい部分が気になる様子。また、ジャレッド・レト演じるレプリカントを製造していると思われる盲目のキャラクターについて、中子氏が「タイレルの社長はロイに目を潰されたけど……あれとは関係ないんだよね?」と問いかけてファンをハッ! とさせると、すかさずヨシキ氏が「意外と面白い若返り方をしている可能性もありますもんね。でも、こういうこと言ってて(予想が)当たってると嫌ですよね(笑)」と、謎多き予告編の気になるポイントを示唆した。

「『ボーダーライン』も好きだったし、監督(ドゥニ・ヴィルヌーヴ)は間違いないと思う。また新しいブレランができると思ってる」という中子氏は、撮影監督のロジャー・ディーキンズ(『ノーカントリー』『007 スカイフォール 』など)が大好きだそうで、ドゥニ監督とは『プリズナーズ』で共演済みの巨匠による“画作り”にも期待しているという。

一方、ヨシキ氏は「30年経つと世の中ってだいぶ変わりますよね。前の『ブレラン』が82年の映画で、設定が2019年。(公開時から)30~40年後の未来っていうことだったから、(『ブレラン2049』は)さらに30年後ってことなんで、色々と変わってることもあるのかなって」と、実際の経年に伴う様々な“変化”に興味を惹かれているようだ。

いよいよ『ブレラン』爆音上映へ。同作のファンであり“爆音上映の生みの親”でもあるboid代表・樋口泰人氏によるプロデュースということで、もちろん専用の音響設備を導入しての上映となった。
まず、ヴァンゲリスによるスコアはもちろん、室内のボイラー音のような不穏な効果音など、低音の響きは一聴して違いが分かるすさまじさ。カオスな街中の雑踏や細かなセリフ/効果音も、何度も観込んだファンですらワクワクしてしまう新鮮な発見にあふれていた。また、体中にビリビリ響く爆音の効果なのか、映像のディティ―ルもいっそう際立って感じられ、特にレイチェル(ショーン・ヤング)の姿は改めてため息が漏れる美しさであった……。

歴史的続編『ブレードランナー 2049』は10月27日(金)に日本上陸! 続報をチェックしつつ公開まで震えて待て!!